腹腔鏡手術とは

腹腔鏡手術とはおなかの中を高性能カメラで観ながら行なう手術です。傷が小さいため、従来の開腹手術に比べて術後の痛みが少なく美容的にも優れています。当教室では、日本内視鏡外科学会の技術認定を取得した医師が、様々な疾患に対して腹腔鏡下手術を行い、患者様の負担を最小限に抑えつつ、安全で質の高い外科治療を提供しています。

腹腔鏡手術とは、おなかに1~2cm程度の穴をあけ、そこからカメラや手術器具を入れて、炭酸ガスでおなかを膨らませながらテレビモニターに映しだされた映像を見ながら行う手術です(“腹腔”とは、腹膜という膜で包まれたおなかの中を指す言葉です)。おなかを大きく切開する開腹手術に比べて傷が小さく、術後の痛みが少ないため、手術翌日から歩くことができ退院までの期間を短くできる可能性をもっています。また、高性能カメラで拡大して見ることができるので、より精緻な手術が可能になっています。細かい血管や大事な神経を傷つけることが少なくなり、結果として出血を減らし、臓器の機能を維持することができます。また術後のおなかの中の癒着が少ないといったメリットもあり、患者さんに優しい手術と言えます。

腹腔鏡手術は世界的に様々な良性疾患および悪性疾患(がん)に対して行われるようになってきており、日本でも様々ながん治療ガイドラインにおいてその有用性が認められ、治療法の選択肢の一つとして行うことが推奨されてきています。ただし、病態や臓器によっては腹腔鏡手術が技術的に難しい場合があるため、腹腔鏡技術に特化した専門医が在籍する専門病院で行われることが勧められています。
日本内視鏡外科学会では、腹腔鏡手術の健全な普及と進歩を促すことを目的に、2005年より技術認定医制度を導入しました。この制度は、合格率20%前後という非常にハードルの高い実技試験であり、高い水準の腹腔鏡手術治療を患者様に提供できるように設けられています。

現在当教室には13名の技術認定取得者がおり、最前線の治療と指導にあたっています。当教室では各種の治療ガイドラインに則って、食道、胃、小腸、大腸、胆嚢、肝臓、膵臓、脾臓といった多くの腹腔内臓器の治療に腹腔鏡手術を導入しています。その最大のメリットである、患者様への負担を最小限に抑えることに加えて、高い安全性とがんの根治性を維持するために、日本内視鏡外科学会の技術認定を取得した医師が先頭に立って日々研鑽を重ね、教室全体で技術の向上に努めています。