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RESEARCH

研究室紹介

化学科共通

キーワード:#有機元素化学 #反応中間体化学 #生体関連化学 

生命科学の可能性を求めて未知な分野を元素で切り拓く

この研究室では、複素環化学、生物化学、細菌学、工業化学、分析化学、有機合成化学等の多岐に渡る分野で研究が進められてきました。最近では、有機元素化学、反応中間体化学、有機生物化学の研究が行われています。これらの基礎化学分野の研究から、生命科学の可能性を探究していくことを目指しています。

S号館405号室

研究内容

有機元素化学の目指すところ

化学の研究分野には、未知の現象や物質が無限に存在しています。有機元素化学の研究分野では、有機化合物中の炭素や水素以外の元素 (P, S, Si, B, As, Sb, Bi, Ge, Sn, etc) の性質を知り、有機分子の未知の特性を引き出し、化学の新しい世界を切り拓いていきます。

 一方、生命現象は、生物を構成する有機分子の生体内の化学反応によって引き起こされています。生命現象を分子レベルで理解するには、化学反応の中間体の解明が必要不可欠だと考えています。また、生命の仕組みを理解し、人類の役に立つ新しい現象や物質を発見するには、化学反応に関わる元素の研究が重要となると考えています。

 私達の研究室では、元素の研究を中心に進めることで、有機分子の化学反応を理解するための基礎知識を身に付け、優れた機能や物性をもつ新しい物質を創り出すこと、また反応活性な中間体の性質を解明することを目的としています。この研究によって、化学の新しい領域を開拓し、生命に関わる現象を解明し、社会の役に立てていくことを目指しています。

新規癌細胞イメージング剤の開発

異分野連携による医療応用を目指した基礎研究を行っています。
?9AA蛍光法の開発をしています。9AAとは、9-アミノアントラセン(9-aminoanthracene)の略称です。9AAは酸素と反応するとアントラキノンモノイミンに変化し、緑色蛍光が消失する性質を持っています。この性質を癌のイメージングに利用することを考えています。
?9AA蛍光法による癌のイメージングとEhlich癌腫移植マウスのin vivo イメージングを行いました。
?9AAの物性を1H NMRと励起?蛍光スペクトルから解明しています。
?9AA誘導体を合成し、様々な機能性(長寿命化、水溶性、活性酸素種[ROS]検出)の導入を行っています。
?9AAプロジェクトによる大学発スタートアップ事業への展開を目指しています。

非対称型N-ヘテロサイクリックカルベンの合成と触媒反応の開発

国際共同研究による持続可能な社会に貢献する研究を行っています。
?尿素は、無機化合物から有機化合物が人工的に合成された初めての有機化合物として知られています。
?有機シアノ化合物からアミジン類を合成し、尿素類縁体の合成と修飾、新しい1,3-双極子剤の合成を行っています。
?窒素豊富化合物の合成を尿素の合成反応と同様の方法で行い、その結晶構造を解析しています。また、合成した窒素豊富化合物から脱アミン反応をBurgess試薬を用いて行い、新しい1,3-双極子剤の合成を検討しています。
?不安定化学種カルベンの合成を新規1,3-双極子(イソニトリリウムイオン)と親双極子剤との1,3-双極子付加反応から検討しています。
?STANCEプロジェクトによる国際共同研究により行いました。

ホスファへテラトリプチセンを用いたWittig反応中間体の観測と合成化学への応用

有機反応に関する反応中間体の基礎化学を研究しています。
?ホスファヘテラトリプチセン類を合成し、結晶構造や分子の動きを動的NMRの手法で解明しています。
?ホスファヘテラトリプチセン類を用いて、不安定リンイリドとカルボニル化合物のWittig反応を行い、生成物(オレフィン)の(E)/(Z)選択性がなぜ生じるかについて、研究を行っています。
?VT-31P{1H} NMRによる反応中間体の観測を行い、1,2-オキサホスフェタンとベタインとの間に平衡があるかどうかを研究しています。
?1,4-双極子付加反応による中間体(1,2-オキサホスフェタン,ベタイン)の捕捉を行い、新しい環状化合物が生成するかどうかを研究しています。
?ホスファヘテラトリプチセンを用いた触媒反応の開発を行っています。

研究活動の成果を社会へ還元する

この研究室では、研究活動を行うことで社会へ貢献することを考えています。
研究活動では、
① 異分野連携研究
医療系研究科の先生方との共同研究を行っています。
② 国際共同研究
米国?独国の先生方と共同研究を行っています。
③ 有機化学の基礎研究
反応中間体を観測?捕捉し、新しい複素環を合成する研究を行っています。
社会活動では、
① アカデミック活動
研究活動の成果を論文?学会発表?特許として社会に発信しています。
② ボランティア活動
研究活動の面白さを小学生、中学生、高校生に伝えています。
③ スタートアップ事業
研究活動の成果を大学の知財として、成果を活かした事業展開を考えています。