卒業研究を終えて―何がいるかな?湖の底の小さな生き物たち―【生物環境科学科】

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「卒業研究を終えて―何がいるかな?湖の底の小さな生き物たち ― 」水域環境学系研究室 有原昂

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 私は「姉沼の底生動物:群集構造とナノバブルの影響」というテーマで卒業論文に取り組みました.青森県東部に位置する姉沼における底生動物群集構造の解明とその底生動物が酸素ナノバブルを導入することでどのような影響を受けるのかを明らかにすることが研究の目的です.

 姉沼には,ユスリカやイトミミズなど富栄養化した湖沼に見られる典型的な底生動物群が見られ,それらを種まで同定するということを行いました.同定については,様々な言語の検索表にあたって,その種について詳しく調べるなど,自分の中では楽しいと感じる反面,課題も多くつらいと感じる面もありました.酸素ナノバブルの影響については,底生動物に与える影響が単純ではなく,食物連鎖を通して複雑であったので,一概に結果について判断できず,難しかったと感じました.

 私の所属する研究室では水環境?水利用に関する研究を幅広く取り扱っています.たとえば,湖沼堆積物のボーリングコアから湖沼環境の変遷を明らかにするチーム,ナノバブル技術を用いて湖沼生態系の改善に取り組むチーム,ナノバブル技術を農業に活用し,作物の生産性と土壌生態系の改良に取り組むチームなどがあり,それぞれの観点から取り組んでいます.私が所属する湖沼生態系班は姉沼を調査地とし,各自卒業研究に取り組んでいます.調査は,班員全員,そして,他班からも応援を募り,協力して行いました.そのおかげか,4年生中盤からは班に関係なく,自分の研究結果や,研究に関する参考文献について相談できる環境になり,多くのことを学べる機会に恵まれました.

 卒業論文を書いたことで,今後の研究でさらに突き詰める部分がより明白になりました.私は,来年,大学院に進学するので,これからも先生方や,同期,後輩とうまく連携して,良い研究を続けていきたいと考えています.

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Fig. 1 姉沼で観察されたウスイロカユスリカ[Procladius choreus(Meigen,1804)],A全身,B尾部,C舌板(矢印は側舌)

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Fig. 2 調査中の著者

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Fig. 3 採泥したサンプル