第501回獣医学科セミナー<Faculty seminar>「腎臓再生の医学研究から獣医学への展開」演者:岩井 聡美 先生(小動物第2外科学研究室)

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2024-03-27
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17:00
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A棟3階 A31講義室

イベントの概要

以下の通り、第501回獣医学科セミナー<Faculty seminar>を開催します。

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第501回獣医学科セミナー<Faculty seminar>

【開催日】 3月27日(水)

【会 場】 A棟3階 A31講義室

【時 間】 17:00~

【演 者】  岩井 聡美 先生 (小動物第2外科学研究室)

【タイトル】腎臓再生の医学研究から獣医学への展開

【要 旨】

獣医療では、特にネコの慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)の発生率が多く、15歳以上のネコの80%が罹患しているといわれるほど、診療でよく遭遇する疾患である。獣医療におけるCKDは、1988年に設立された国際獣医腎臓病研究グループであるInternational Renal Interest Society(IRIS)がイヌとネコにおけるCKDの病期分類をステージ1~4に分類しているが、根治的な治療法は見いだされておらず、対症療法が主な治療法である。また、ヒト医療と異なり、CKDの維持療法としても血液や腹膜透析による腎代替療法は急性腎障害が主な対象疾患である。一方、獣医療での腎臓移植は、ドナーが生体でかつ意思表示のできない動物であるうえに、上部尿路の閉塞性疾患の発生率が高まっている現状があるため、倫理的にも世界的に行われる症例数はかなり限られている。獣医療ではCKDに対する新規治療法の開発が望まれている。これまで、医学との共同研究において、腎臓再生療法の一端としてブタという異種臓器を用いて、ネコ体内で尿生成やネコのエリスロポエチン産生などの一部機能を再生する段階まできているが、未だネコ本来の臓器再生には至っていない。今後、ネコの体内でネコの腎臓を再現すべく、検討を続けたい。