第483回獣医学科セミナー<Faculty seminar>「Vibrio vulnificus感染症の抗生物質に依存しない新規治療法開発に向けて」演者:柏本 孝茂 先生(獣医公衆衛生学研究室)

?
2023-02-08
?
17:00
?
A棟2階 A21講義室

イベントの概要

以下の通り、第483回獣医学科セミナー<Faculty seminar>を開催します。教職員および学生のご参加をお待ち申し上げます。

?

【開催日】 2月8日(水)

【会 場】 A棟2階 A21講義室

【時 間】 17:00~

【演 者】 柏本 孝茂 先生(獣医公衆衛生学研究室)

【タイトル】

Vibrio vulnificus感染症の抗生物質に依存しない新規治療法開発に向けて

【要 旨】

 Vibrio vulnificusに代表される壊死性軟部組織感染症 (NSTI)の起因菌は、ヒトに感染後、極短時間内に皮膚や筋肉などの軟部組織を壊死させ、敗血症により感染者を死に至らしめる。この特徴から、ヒト喰いバクテリアとして恐れられている。V. vulnificus感染症における最も大きな問題は、感染者体内における増殖があまりに早く、抗生物質による治療が追い付かないことである。そのため、現在においても本感染症の致死率は、50~70%と高い。

 我々の研究の最終目標は、抗生物質に依存しない、あるいは、併用可能なV. vulnificus感染症の新規治療法の開発である。これを実現するため、感染症例の病態を忠実に再現可能な感染モデルを作成し、その病態発生過程を詳細に解析することで感染を俯瞰して理解すると共に、この感染モデルを用いた網羅的病原遺伝子同定法により本感染症治療のクリティカルポイントを見極めてきた。本セミナーでは、これまでに明らかとなったV. vulnificus感染による病態発症機構と制御のためのポイントを紹介したい。