第461回獣医学科セミナー<Cutting Edge> 「バクテリオファージを利用した細菌感染症の治療」演者:氣駕 恒太朗 先生(自治医科大学 医学部 感染?免疫学講座 細菌学部門)

?
2021-12-14
?
17:00
?
A棟3階 A31講義室

イベントの概要

以下の通り、第461回獣医学科セミナー<Cutting Edge>を開催します。教職員および学生のご参加をお待ち申し上げます。

?

第461回獣医学科セミナー<Cutting Edge>

【開催日】 12月14日(火)

【会 場】 A棟3階 A31講義室

【時 間】 17:00~

【演 者】 氣駕 恒太朗 先生(自治医科大学 医学部 感染?免疫学講座 細菌学部門)

【タイトル】 ?バクテリオファージを利用した細菌感染症の治療

【要 旨】

細菌などの発育を阻害する抗生物質は、20世紀最大の発見とも言われている。1928年のペニシリン発見以来、人類は多くの感染症を克服し、平均寿命を大幅に伸ばすことに成功した。しかし、治療効果も高く便利な抗生物質を使い続けた結果、薬剤耐性菌(抗生物質が効かない細菌)が蔓延してしまった。今や耐性菌は世界中いたるところに存在し、臨床で使用されているほぼ全ての抗菌薬に対して耐性菌が出現している。その一方で、新しい抗生物質の開発は滞っており、2050年には耐性菌により年間1000万人の死者が出ると予測されている。この危機的状況の中、抗生物質の代替として注目されているのがバクテリオファージ(ファージ)である。

ファージは細菌に感染するウイルスである。実のところ、「ファージの殺菌活性を利用した抗菌療法(ファージセラピー)」は100年前から行われており、抗生物質よりも長い歴史がある。特に東欧諸国ではファージセラピーの使用はこれまで日常的であった。2010年代後半からは欧米でも実験的治療が行われ、その治療効果が確認された。しかし、同時に問題点も浮かび上がってきている。本講演ではファージセラピーの海外での実施例や、本邦での開発例を紹介する。また、我々が開発した「狙った細菌を選択的に殺菌できるファージ製剤」についても紹介する。抗生物質が効かない細菌が増えてきた今、ファージセラピーが抗生物質の代替となりうるのか議論したい。

?