スペシャリストの役割についてご紹介ください。

当院には多くの専門看護師?認定看護師が活動しています。私たちは、医療現場で起きている問題を総合的に捉え、専門看護分野の専門性を発揮しながら、患者さんやご家族に対して質の高い看護実践を提供しています。また、病棟や外来の看護職員、医師、多職種と協働し、治療や療養が円滑に行われるようにチーム医療の要として活動しています。組織全体の看護の質は、現場で働くジェネラリストナースの力量次第だと言っても過言ではありません。スペシャリストはコンサルテーションや教育、研究支援などを通して、ジェネラリストナースの力を高めるための活動を行っています。

専門看護師?認定看護師全体での活動についてご紹介ください。

現在、スペシャリストが行っている看護外来は12項目あり、医師などと協働しながら、患者さんやご家族の治療や療養の支援を行っています。また、急変予防対応チーム（RRT）や感染対策チーム、褥瘡対策チームなど、現場の問題や課題に対応するために、組織横断的なチーム活動も行っています。私たちの活動は施設内にとどまらず、より良い地域医療を目指して行政や地域医療機関などと協働していることも特徴の一つです。毎年、全体会を開いて専門看護師?認定看護師の全員が集まり、相互交流を通してエンカレッジを図るとともに、組織の課題や目標に全員で取り組んでいます。私たちの専門性は多岐に渡りますが、ケアの柱は共通です。それぞれが専門特化された活動であるが故に孤独な活動とならないよう、看護への思いを語り合いながら、お互いを大切にしたいと思っています。

専門看護師?認定看護師が関わっている教育についてご紹介ください。

近年、検査や治療の発展に伴って医療は高度化?複雑化し、人々のニーズも多様化しています。私たちスペシャリストは、常に最新の知識や技術を習得しつつ、日頃の看護の場面を振り返って、今、看護職員に必要とされる教育は何かを考察します。「がん薬物療法におけるケア」「コミュニケーションスキルトレーニング」「意思決定支援」など、毎年10ほどの研修会やセミナーを企画運営しています。また、看護職員の育成の機会は日常の場面にも多くありますので、ちょっとした相談や会話でも、相手の成長や育成を意識して関わっています。さらに、自分たちの学習や成長のためのピアサポートも行っており、相互交流と相互活用を大切にしています。

その他アピールしたいことがあればご紹介ください。

個々のスペシャリストが自分の専門性を十分に発揮できるように、当院ではそれぞれの部署に適した人材を配置しています。組織横断的に活動している人は全体の2割で、多くは病棟や外来に所属しながら、その部署のケアの質の向上に努めています。このように組織の細部にまでスペシャリストを配置していることは当院の強みでもあります。また、より良い看護の実現を目指して、組織の問題や課題に対する取り組みも重要です。私たちは看護管理者から支援を受け、また、共に協働しながら活動することを大切にしています。スペシャリストは組織の人々から上手く活用されることが重要で、そのための院内広報や活動のアピール、見える化にも取り組んでいます。近年、社会や医療、人々の価値観は目まぐるしく変化しています。伝統を大切にしながら変革を恐れず、患者さんやご家族のニーズに合った新しいケア提供体制やチーム活動を創造していきたいと思います。

2020.12.18