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RESEARCH

研究室紹介

分子生物学

キーワード:#体内時計 #性?種の進化 #変態 #冬眠

生命現象を分子レベルで解き明かす
私たちの研究室では、(1) 体内時計、(2) 性?種の進化、(3) 両生類の変態、(4) 哺乳動物の冬眠について、分子レベルでの解明を目指しています。そのために、カサノリ、クラミドモナス、マウス、アフリカツメガエル、シマリスなどの多様な生物において、分子生物学や遺伝子工学の手法を用いて研究を進めています。

研究内容

体内時計の研究(松尾)

体内時計は、生物の1 日のリズムをつくり出す分子装置です。体内時計の仕組みは、24 時間で1 回転する遺伝子発現のフィードバックループであることが知られています。しかし、そのループの1 回転がなぜ24 時間になるのかという、時計としての本質的な疑問には十分に答えられていません。私たちは、その疑問に答えるために、全長10cm にもなる巨大細胞のカサノリや、直径10μm ほどの小さな単細胞生物のクラミドモナス、さらにはマウスなどの哺乳動物を用い、それぞれの特長を活かして生物が時を計る仕組みを研究しています。

性?種を決定する遺伝子?ゲノム進化(伊藤)

脊椎動物の性システムと種に関する遺伝子?ゲノム進化の研究を行っています。

性を決定する遺伝子進化:我々は以前、ZW/ZZ 型の性システムをもつ種の性決定遺伝子を動物界で初めて発見し、更に性決定遺伝子の下剋上進化仮説を提案しました。現在、脊椎動物各種の性決定遺伝子に関して、この仮説の検証を行い、性システム進化との連関を調べています。

種を決定するゲノム進化:生殖隔離における種分化の決定要因の解明を目的として、異種交配系を用い、各々の種ゲノム(サブゲノム)の差異およびトランスポゾン活性化とこれを抑制するpiRNAシステム制御機構から、非対称サブゲノム進化機構の解明研究を行っています。

両生類の変態機構の研究

私たちは両生類の変態機構について研究を行っています。両生類は、脊椎動物の進化の過程で、初めて陸上進出を果たしました。水棲?陸棲環境に適応するため、変態過程ではダイナミックな形態変化と生理学的な変化を起こします。現在,無尾両生類ツメガエルを中心とした変態に関する分子機構の解析に加えて,様々な脊椎動物との比較解析から,進化的な観点からの探求も行っています。

シマリスの冬眠研究(塚本)

哺乳類の冬眠は、能動的に低代謝になることでエネルギー消費を抑えた低体温で冬の環境ストレスに対する生存戦略です。シマリスの冬眠は、外部環境の温度だけでなく、内在性の概年リズムによって制御されていますが、そのメカニズムはわかっていません。そして、シマリスの冬眠期は、体温が約6℃にまで低下した状態で6日程度過ごす深冬眠と、数時間で約37℃にまで体温が上昇して覚醒した状態で約1日過ごす中途覚醒を繰り返していますが、組織が健全であるメカニズムはわかっていません。私たちは、それらのメカニズムを遺伝子レベルから、特に発現制御機構に着目した解析から解き明かそうと研究しています。