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RESEARCH

研究室紹介

分子機能化学

キーワード:#有機化学 #π共役系化合物 #高機能性色素の開発

新分子を自分で設計?合成し、性質を解明する醍醐味!

私たちは、くらしに役立つ材料に使われる有機分子の特徴的な構造を研究し、新たな「 機能」を示す新規分子をつくり出す研究を行っています。例えば、光や熱などの刺激で色が可逆的に変わったり、新しい磁性や導電性などを示す有機- 無機のハイブリッド分子など。X線結晶構造解析、その他各種の分析により、新しい分子の探求と未知なる物性の解明や機能性物質の開発に取り組んでいます。

研究内容

新しいキラル三次元π共役系化合物の創出

ベンゼン環やチオフェン環のような芳香族ユニットを「ねじった」π共役系化合物を設計し、有機合成技術を駆使して実際に創り出します。これらの分子は単純に構造が面白いだけでな、興味深い光特性を示します。これらを分子の「かたち」と「物性」の相関を追求します。π共役系ユニットを特定の方向にねじると、「キラリティー」が生じます。このような分子は、円偏光との相互作用が見られますが、その詳細は不明瞭な点が多く課題が残されています。例えば、よく光るキラル分子からは円偏光発光(CPL)という、左右どちらかの円偏光を選択的に発する現象が観測されます。しかしならが、どのような分子からどのような円偏光が出てくるかは未知なままです。新しい分子を合成し、これらを明らかにしていくことが一つの目標です。

関連する代表論文 → "Circularly Polarized Luminescence of A Stereogenic Curved Paraphenylene Anchoring A Chiral Binaphthyl in Solution and Solid State"

関連するプレスリリース → 「高効率の円偏光発光フィルムを生み出すキラル誘起添加剤を開発」 

 

アズレンを配位子に用いた新しい錯体

アズレンは5員環と7員環が縮環したπ共役系化合物です。抗菌、滅菌作用があり、消毒薬をはじめうがい薬、軟膏などに幅広く用いられ、私たちの生活にも比較的身近です。また、アズレンは5員環を負、7員環を正として炭化水素化合物としては極めて高い分極構造の寄与を有する化合物で、電子的にも興味深い分子です。
 しかしながら、アズレンを用いた機能性材料は、官能基化の困難さもあってあまり進展しておりません。当研究室では電子的特性に優れた、出来るだけ小さなπ電子系化合物としてアズレンを選択し、金属原子との複合系を構築することによって新しいdπ-pπ共役系の構築に挑戦しております。

私たちの生活で活躍する「色素」の合成

私たちの生活をとりまく重要な材料のひとつに、「色素」が挙げられます。プリンターのインクをはじめ、染料や食品に至るまでほとんど全ての素材に使われています。私達のグループで行っている研究のひとつに、特徴あるパイ共役系有機化合物を利用した機能性色素の開発があります。機能性色素とは光や熱、電気などの外部刺激を与えたり、特定の分子を溶液や固体中で捕捉したりする ことで色が変化したり、光を発したりする色素です。こうした色素には「クロミック分子」と呼ばれる分子が使われており、その開発を行っています。

新しい発光分子をつくる!?円偏光で三次元ディスプレイができるかも??

私たちが普段感じている光(自然光)は、左回転と右回転の偏光を等しく含んだ光で構成されています。不斉構造をもつ有機蛍光色素は、そのうちどちらかの回転に偏った光を円偏光発光(CPL)として与えます。強いCPL を示す色素は、高輝度液晶ディスプレイの光源や、三次元ディスプレイの色素、偏光を発するインクとしてセキュリティ材料への応用が可能とされ、近年注目を集めている未来の材料です。しかしながら、「どのような分子が効率良くCPL を与えるか?」という単純な疑問も未だに明らかにされておらず、私たちは新しい光る分子を独自に設計して、より効率の良い円偏光発光材料を求めて研究を進めています。

硫黄を組み込んだナノフープの開発

アントラセンの2箇所の炭素を硫黄で置換した「チアントレン」と呼ばれる物質を用いた新しい分子開発と機能探索を行っています。環状構造に組み上げることで、これまでにない光物性や電気化学特性を引き出す研究を行っております。

クマリンを用いた蛍光色素分子の開発

生体内のプローブとして活躍する「クマリン」に新しい機能を付与した蛍光色素材料を開発します。