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RESEARCH

研究室紹介

反応機構学

キーワード:分析化学(分離分析,ミクロスケール分析,バイオ分析)、光反応、極低温マトリックス分光、光活性化型放出剤、ゲル線量計

未知の化学反応や分子間相互作用の探求?解明に向けて、新たな測定法?解析法を創出する

1.測定対象分子のみと結合する分子認識素子の創成
2.電気泳動を用いた分子間相互作用解析法の構築
3.極低温マトリックス単離法を用いた短寿命化学種の検出 
4.創薬へ光化学過程を応用することを目指した基礎研究 
5.放射線の線量測定法の開発

研究内容

マイナス263℃の極低温を用いて 光化学反応の仕組みを解き明かす

分子が光を吸収することによって開始される反応を光化学反応といいます。この反応の仕組みを解明するには途中に介在する反応中間体の構造や性質を知る必要があります。しかしその寿命は100 万分の1 秒以下という場合も多く、通常それを捉えることは困難です。そこで我々はマイナス263℃で凍結した不活性媒体の中に反応中間体を封じ込めることで長寿命化させ、直接観測します。この手法を用いると、例えば窒素が一本しか手をもたないナイトレンと呼ばれる分子を観測することができます。このような研究を通して構築させる「反応中間体化学」は、学問的に意義をもち、光触媒や光がん治療といった光反応の創造にも大きく貢献しています。

光活性化型放出剤の構築と能力評価

光を照射することで抗癌剤や一酸化窒素NOを放出する分子を設計?合成し、その光化学的特性や放出能力を明らかにするとともに、癌細胞に対する殺細胞効果を評価します。光照射の位置や時間の制御は容易であり、この利点を生かして望む場所にのみ薬剤を投与できれば、副作用の大幅な軽減化が期待できます。
 

重粒子線がん治療用化学線量計の開発

放射線は、医療(X線検査や放射線治療など)、産業(滅菌や非破壊検査など)、エネルギー(原子力)、宇宙産業など、多岐にわたる領域で幅広く利用されています。例えば、先進医療として進められているがんの重粒子線治療では線量の集中性が高く細胞致死効果の高い重粒子線を病巣に集中的に照射する効果的な治療法です。2023年には世界初のマルチイオン治療の臨床研究(量子科学技術研究開発機構)も開始され、さらなる高度化が進められています。
我々の研究室では重粒子線治療用の世界で初めてとなる実3次元線量計の開発を先駆的に進めています。この開発において重要となるのが、放射線誘起の化学反応の解明とその制御になります。放射線の照射によって物質中で生じる化学的変化を詳細に研究する放射線化学研究を進めます。