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脳神経内科

パーキンソン関連疾患に対する入院後早期リハビリ実施率

臨床的意義

運動障害性疾患症例における入院後早期のリハビリ開始で運動機能障害増悪の予防に対する取り組みを評価する

算出定義

分母
パーキンソン症候群(関連疾患を含む)の診断名で入院しリハビリ実施症例数
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
68 60 81 100
分子
パーキンソン症候群(関連疾患を含む)で入院後4日以内にリハビリテーションを開始した症例数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
59 45 57 87

医師コメント

本来、100%に近いことが望ましいが、感染症で入院するなどして必ずしも全員が速やかにリハビリテーションに入ることが出来るわけではなく、85%程度というのは妥当な数値と思われる。2020年度から一時的に低下していたのは、コロナ禍ということでリハビリオーダーに躊躇があったことの現れであろう

消化器内科

ESD/EMRで入院した患者における7日以内に退院した患者の割合

臨床的意義

EMR/ESDを行った場合の合併症発生率と相関する。
※EMR(内視鏡粘膜切除)
内視鏡を使用して粘膜(組織の表面部分)の異常な部分を取り除く処置
※ESD(内視鏡粘膜下層剥離)
EMRより広範囲な粘膜の異常部分を内視鏡を使用して取り除く処置

算出定義

分母
対象期間内にてESD/EMRを行った入院患者数
(DPC:腸ポリープ?粘膜切除術の件数K721)
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
259 104 108 127
分子
7日以内に退院した患者数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
246 91 99 121

医師コメント

胃癌治療ガイドライン委員を含む専門家が選出した胃がんQI研究の内視鏡治療後在院日数(≦7日)の項目を参考に全消化管ESD/EMRで入院した患者における7日以内に退院した患者の割合を検討した。2019年から2020年にかけて症例数の変動がありEMR症例大半が外来治療へ移行し入院症例のほとんどがESDとなったことが考えられる。7日以上入院期間があるということは、治療後の合併症が発生した可能性が高いことを意味するが、2020年から2022年にかけて理由を加味しないと87.5%→91.7%→94.5%、理由を加味すると2021年 99.0%、2022年 100%となっている。ちなみに胃癌QI研究2015年症例解析結果(都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会がん登録部会が主体)では56.3%であった。

循環器内科

急性心筋梗塞患者におけるアスピリン投与割合

臨床的意義

急性心筋梗塞患者さんにアスピリンを早期に投与開始することは患者さんの予後改善(長期生存すること)に有用であることが知られており、標準治療となっているためです。

算出定義

分母
急性心筋梗塞で入院した患者数
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
9 17 3 5
分子
対象薬剤が処方されている患者数(バイアスピリン/クロピドグレル/エフィエント等)
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
6 15 3 5

医師コメント

赴任した2021年度以降、心筋梗塞患者さんに対してアスピリン、βブロッカーおよびスタチンを使用するという、エビデンスに基づいた治療ができている。これを継続していきたいと考ます。

急性心筋梗塞患者におけるβブロッカー投与割合

臨床的意義

急性心筋梗塞患者さんにβブロッカーを早期に投与開始することは患者さんの予後改善(長期生存すること)に有用であることが知られており、標準治療となっているためです。

算出定義

分母
急性心筋梗塞で入院した患者数(入院契機主病or最病が対象の病名)
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
9 17 3 5
分子
対象薬剤が処方されている患者数(カルベジロール/ビソプロロール)
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
1 6 3 5

医師コメント

赴任した2021年度以降、心筋梗塞患者さんに対してアスピリン、βブロッカーおよびスタチンを使用するという、エビデンスに基づいた治療ができている。これを継続していきたいと考ます。

急性心筋梗塞患者におけるスタチン剤投与割合

臨床的意義

急性心筋梗塞患者さんにスタチンを投与しLDLコレステロールを積極的に低下させることが、再発予防に有用であることが知られており、標準治療となっているためです。

算出定義

分母
急性心筋梗塞で入院した患者数(入院契機主病or最病が対象の病名)
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
9 17 3 5
分子
対象薬剤が処方されている患者数(アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン等)
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
6 12 3 5

医師コメント

赴任した2021年度以降、心筋梗塞患者さんに対してアスピリン、βブロッカーおよびスタチンを使用するという、エビデンスに基づいた治療ができている。これを継続していきたいと考ます。

慢性心不全患者におけるRAS阻害剤投与割合

臨床的意義

慢性心不全患者さんにRAS阻害剤を投与することが患者さんの予後改善(再入院を抑制したり、長期生存すること)に有用であることが知られており、標準治療となっているためです。

算出定義

分母
心不全(HFrEF)で入院した患者数(入院契機主病or最病が対象の病名)
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
104 87 68 56
分子
対象薬剤が処方されている患者数(エナラプリル(レニベース)、ペリンドプリル、テルミサルタン等)
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
70 48 42 39

医師コメント

慢性心不全患者さんにおけるRAS阻害剤投与割合に関して、69%という数字をどのように評価するかは難しい問題だと思われます。低血圧や腎機能低下のある方には副作用の懸念からRAS阻害剤が使用しづらいからです。近年、慢性心不全の新規治療薬が登場してきており、患者さんのバックグラウンドに合わせて、RAS阻害剤のみならずβ遮断薬、SGLT2阻害薬等、うまく組み合わせて使用しながら心不全治療にあたっていきたいと考えております。

呼吸器内科

長期ステロイド服用患者の各種予防内服率(カリニ肺炎/胃潰瘍/骨粗鬆症)

臨床的意義

想定されている合併症予防のための適切な処方がされているかを評価し、不要な入院を避けることで医療費の削減につながる。

算出定義

分母
プレドニン換算20mg以上を4週間以上内服している患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
67 55 49 56
分子
対象薬剤が処方されている患者数(バクタ/タケプロン/ビスフォスフォネート等)
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
21 16 18 19

医師コメント

患者さんの中に副作用等や臓器障害などで内服ができない方もいらっしゃいますが、引き続き適正な副作用予防に努めていきたいと思います。

65歳以上の患者における肺炎球菌ワクチン接種率

臨床的意義

高齢者では肺炎が死因の上位であり特に肺炎球菌肺炎は重症化しやすく死亡率も高い。ワクチン接種による敗血症予防が期待できる。

算出定義

分母
呼吸器外来に通院する65歳以上の患者すべて
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
1,643 1,388 1,495 1,778
分子
5年以内にプレベナーもしくはニューモバックスを接種している患者
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
421 419 443 340

医師コメント

他院で接種されている患者さんを正確に確認?把握できてないため、接種状況の確認に引き続き努めていきます。節目の年齢では公費等を用いた初回接種に関して積極的に勧奨してまいります。

骨転移を有する肺癌患者における骨関連事象予防率

臨床的意義

肺癌骨転移による骨関連事象(病的骨折/疼痛/高Ca血症)を予防することで、PSを保ち予後を改善することができる。

算出定義

分母
肺癌患者かつ骨転移病名がある患者数
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
62 57 49 42
分子
ランマークもしくはゾメタを1/月で投与している
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
11 12 9 5

医師コメント

終末期医療や副作用等で使用しない患者さんもいらっしゃいますが引き続き適正使用に努めてまいります。

腎臓?高血圧内科

慢性腎臓病患者でのRAS阻害薬処方率

臨床的意義

CKDに対する、腎保護目的の治療として主要なRAS系阻害薬をどの程度の割合で使用しているか

算出定義

分母
慢性腎臓病、慢性腎不全の病名がついている外来患者数
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
746 786 833 1,030
分子
ACE阻害薬、ARB、抗アルドステロン薬のいずれか一つ以上の処方ありの患者数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
249 253 264 321

医師コメント

慢性腎臓病の進行を抑制するためには、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)等のRAS阻害薬を用いた降圧療法によって、血圧を130/80mmHg以下にコントロールすることが勧められています。慢性腎臓病患者さんのなかには血圧正常の方や、蛋白尿陰性の糖尿病非合併慢性腎臓病の方も多く含まれ、また2人主治医制に伴い、他医療機関より処方を受けている方もいることから当院における処方率も妥当なものと考えられます。

維持透析中の患者でHb10-12g/dlの患者の割合

臨床的意義

透析患者の腎性貧血管理が十分行われているかどうか

算出定義

分母
当院維持透析患者数
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
51 36 38 37
分子
最後の採血でのHb値
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
24 19 15 15.00

医師コメント

腎機能が低下すると、エリスロポエチン分泌不全となり、腎性貧血をきたします。赤血球造血刺激因子製剤(ESA)とHIF-PH阻害薬の臨床での使用により腎性貧血の治療は大きく改善しました。日本透析医学会の「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」に基づき、Hb10g/dl以上12g/dl未満を目標としていますが、当院では外来通院透析患者さんはおらず、何らかの治療目的に入院された維持透析患者さんが対象となるため、目標達成割合が低くなっておりますが、今後さらによりよい状況を目指していきます。
※エリスロポエチン(Erythropoietin、通称EPO)は、体内で赤血球の生成を促進するホルモンです。
エリスロポエチン分泌不全は、このホルモンの適切な量が生成されない状態

糖尿病内科

糖尿病患者でHbA1c<7.0%である割合

臨床的意義

糖尿病患者の治療目標は一般にHbA1c<7.0%であり、その割合を求めることは、病院全体の治療の良しあしを反映することになる。

算出定義

分母
DM科受診患者でHbA1c検査を行った患者数(実患者数)
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
2,201 2,039 2,258 2,621
分子
分母の患者の中で対象年度最終測定HbA1c数値が7.0%より低い患者数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
1,338 1,132 1,396 1,829

医師コメント

①HbA1c<7%の患者の割合:HbA1c<7%は糖尿病合併症を予防するための血糖管理の目標ですので、この指標の数値が高いことで質の良い糖尿病診療が行われていることを示します。日本病院会のQIプロジェクトでは、2021年度の平均値47.3%、中央値47.8%とされています。当院では概して60%以上であり、2022年度には70%というすうちとなりました。このことは、当院が糖尿病専門医3名で外来診療を実施していることに加え、エネルギー制限食ではなく糖質制限食を採用していることが寄与しているものと考えています。

65歳以上糖尿病患者(1型を除く)でインスリン製剤もしくはSU剤の投薬を受けていない割合

臨床的意義

2型糖尿病患者では低血糖を起こしうる薬剤(SU剤およびインスリン)は避けることが求められている。特に高齢者ではそれが強く求められており、病院全体の安全な糖尿病治療を目指している程度を示すことになる。

算出定義

分母
65歳以上で2型糖尿病の保険病名を付けている患者数(実患者数)
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
983 1,011 1,053 1,156
分子
分母の中でインスリン製剤もしくはSU剤の投薬を受けて受けていない患者数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
711 776 819 822

医師コメント

1. 65歳以上SU,インスリン非使用者の割合:インスリン製剤やSU剤は低血糖を生じうる薬剤であり、高齢者では使用を避けるべきと考えられています。ですので、この指標の数値が高いことで安全性の高い糖尿病診療が行われていることを示します。2019年度から2021年度にかけて徐々に上昇してきた数値が2022年度に低下しています。低血糖に留意しつつもせめてHbA1c<8%(高齢の患者さんの場合、年齢やご本人の状態によっては血糖管理の目標が<7%ではなく、<7.5%, <8%, <8.5%と変更されます)を目指して、ぎりぎりの少量でこうした薬剤を使用していることの反映だと考えています。

75歳以上糖尿病患者(1型を除く)でインスリン製剤もしくはSU剤の投薬を受けていない割合

臨床的意義

2型糖尿病患者では低血糖を起こしうる薬剤(SU剤およびインスリン)は避けることが求められている。特に高齢者ではそれが強く求められており、病院全体の安全な糖尿病治療を目指している程度を示すことになる。

算出定義

分母
75歳以上で2型糖尿病の保険病名を付けている患者数(実患者数)
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
431 453 506 612
分子
分母の中でインスリン製剤もしくはSU剤の投薬を受けて受けていない患者数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
297 339 385 423

医師コメント

1. 65歳以上SU,インスリン非使用者の割合:インスリン製剤やSU剤は低血糖を生じうる薬剤であり、高齢者では使用を避けるべきと考えられています。ですので、この指標の数値が高いことで安全性の高い糖尿病診療が行われていることを示します。2019年度から2021年度にかけて徐々に上昇してきた数値が2022年度に低下しています。低血糖に留意しつつもせめてHbA1c<8%(高齢の患者さんの場合、年齢やご本人の状態によっては血糖管理の目標が<7%ではなく、<7.5%, <8%, <8.5%と変更されます)を目指して、ぎりぎりの少量でこうした薬剤を使用していることの反映だと考えています。

一般消化器外科

一般消化器外科手術後、術後経口摂取開始が術後2日目までに開始した割合

臨床的意義

近年消化器癌領域では、ERASの概念が始まり、術後早期から経口摂取を開始するトレンドになっている。当院での現状を把握する目的。

算出定義

分母
当院で消化器領域で手術を施行した患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
319 332 343 169
分子
2日目までに開始した割合
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
298 304 310 157

医師コメント

医師作成中

一般消化器外科手術後(緊急手術症例を除く)、抗生剤投与が術後2日以上継続して投与された割合

臨床的意義

近年消化器外科領域では、ERASおよび感染に対する概念が深く勉強されるようになり、周術期の抗生剤投与期間が短くなっている。当院での現状を把握する目的
※ERASは手術後の回復をスムーズに進め、患者の快適さを向上させるための包括的なアプローチ

算出定義

分母
当院で一般消化器外科で緊急手術を除き、待機手術を行った症例
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
239 254 278 138
分子
当院で術後2日以上継続して抗生剤を投与した患者
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
239 254 278 138

医師コメント

医師作成中

特定術式における手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率

算出定義

分母
対象術式患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
64 45 53 44
分子
手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された手術件数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
64 45 53 44

特定術式における適切な予防的抗菌薬選択率

算出定義

分母
対象術式患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
63 44 53 44
分子
術式ごとに適切な予防的抗菌薬が選択された手術件数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
62 42 51 42

医師コメント

「日本病院会の全参加施設の数値(中央値)よりも高い数値となっています。これは各診療科医師がインフェクションコントロールチーム(ICT)と相談しながら、予防的抗菌薬の投与マネージメントを行っている結果と考えられます。」
「高齢化社会における患者さんの病態を考慮した投与を行うことが重要ですが、耐性菌の出現や医療費の負担増も考慮した投与が求められるため、ICTの役割は大きいと考えます。」

特定術式における術後24時間以内の予防的抗菌薬投与停止率

算出定義

分母
対象術式患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
64 45 53 44
分子
術後24時間以内に予防的抗菌薬投与が停止された手術件数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
53 36 49 37

医師コメント

「当院の停止率は、日本病院会の全参加施設の数値(中央値)よりも高い数値となっています。これは各診療科医師がインフェクションコントロールチーム(ICT)と相談しながら、予防的抗菌薬の投与マネージメントを行っている結果と考えられます。」
「高齢化社会における患者さんの病態を考慮した投与を行うことが重要ですが、耐性菌の出現や医療費の負担増も考慮した投与が求められるため、ICTの役割は大きいと考えます。」

腫瘍センター

HER2陽性の癌でトラツズマブを投与した患者における投与前に心エコー検査を実施した患者の割合

臨床的意義

重篤な副作用対策としてガイドラインに示された通り治療前の心機能評価を行うことができているか。

算出定義

分母
トラツズマブを投与した患者数(ハーセプチン)
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
238 204 113 129
分子
治療前に心臓超音波検査が行われた患者
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
112 134 61 118

医師コメント

胃癌治療ガイドライン委員を含む専門家が選出した胃がんQI研究の胃癌トラツズマブ使用前の心エコー検査の項目を参考に全HER2陽性の癌でトラツズマブを投与した患者における投与前に心エコー検査を実施した患者の割合を検討した。トラスツズマブは心不全などの重篤な心障害の有害事象が生じる可能性があり、添付文書上でも投与前に心エコーを行うこととされている。当院では2019年から2022年にかけ47.1%→65.7%→54.0%→91.5%と2022年に大きく改善されている。ちなみに胃癌QI研究2015年症例解析結果(都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会がん登録部会が主体)では71.6%であった。

呼吸器外科

呼吸器外科手術(胸腔?縦隔全身麻酔手術)における術後胸腔ドレーン留置期間(日)

臨床的意義

ドレーンは術後入院決定する最大の条件となるため、これにより医学的な術後入院日数の客観的評価が可能
さらに手術の質、安全性も同時に評価できる

算出定義

分母
胸腔?縦隔の手術例でドレーン留置を施行した全患者数 但し再手術では手術毎独立算定
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
40 30 33 46
分子
手術日を0日起点とし最終ドレーン抜去された期日までの日数合計
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
176 113 126 175

医師コメント

46症例が対象となり、術後23日と12日間?????留置されていた肺瘻症例があったために例年と比較して延長した。
これらを除外すると3.2日間であった。引き続き期間短縮に努力する。

乳腺外科

乳癌手術後に、患側上肢のリハビリ介入が実施された割合。

臨床的意義

乳癌手術後、早期に患側上肢のリハビリの開始することで上肢の挙上障害やリンパ浮腫等の手術合併症の頻度を減らす効果が示されている。当院でのリハビリ介入が実施された割合を把握することを目的とする。

算出定義

分母
当院で乳癌手術をおこなった患者数
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
114 70 83 66
分子
当院で乳癌手術を行いリハビリ介入が実施された患者数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
101 64 80 63

医師コメント

経年的にリハビリ介入率は上昇し、2021年には95%を超えてきています。積極的な介入がなされていることの反映であり、十分に好ましい状況と思います。この状況を持続させることが肝要と考えております。

整形外科

大腿骨転子部骨折の早期手術割合

臨床的意義

腿骨転子部骨折は生命予後に関与する骨折です
早期手術を行い、早期離床が生命予後を改善できる可能性があります

算出定義

分母
当院に来院して手術を行った大腿骨転子部骨折の患者数
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
16 16 14 9
分子
当院受診後48時間以内に手術出来た患者数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
4 11 12 5

医師コメント

2020年度以降は多少のばらつきはあるものの50%を越える割合で推移し、2021年度には86%と非常に高い値を達成しています。2021年度の日本病院会のQI指標では平均値37.7%、中央値34.3%ですので、これらの値に比較すると、当院での転子部骨折に対する早期手術の取り組みが成果を出していると考えられます。麻酔科、手術室と連携し、転子部骨折患者の全身合併症を減らすため、可及的早期に手術を施行する取り組みを継続していきます。

人工関節手術を受けた患者の肺塞栓症の発生率

臨床的意義

当院で行っている人工膝関節置換術はとても有用な手術で患者様のQOL改善に役立っております
手術の中で、比較的頻度が高く生命予後にも関与する肺血栓塞栓症の発生率を把握することは極めて重要です

算出定義

分母
当院で行った人工膝関節置換術の患者数
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
81 62 57 66
分子
術後(入院中)に発生した肺塞栓 の患者数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
3 2 0 0

医師コメント

2019年度は4%、2020年度は3%でしたが、2021年、2022年度には0%を達成しています。TKA術後の症候性PTEの発症頻度はさまざまな報告があり、2012年の米国胸部医学会ガイドラインでは、1.5%とされています。ひとたび発症すれば致死的になり得る重篤な合併症であるため、発症率0%を維持するべく、最小侵襲の手術、周術期の疼痛管理、早期離床によるリハビリ開始、深部静脈血栓症の予防対策、などを引き続き継続していきます。

特定術式における手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率

算出定義

分母
対象術式患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
209 164 197 203
分子
手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された手術件数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
209 164 197 203

特定術式における適切な予防的抗菌薬選択率

算出定義

分母
対象術式患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
209 164 197 203
分子
術式ごとに適切な予防的抗菌薬が選択された手術件数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
209 164 197 203

婦人科

女性人間ドック受診者中経腟エコーの実施者の割合

臨床的意義

婦人科任意型検診として、経腟エコー検査は有用であり診療の質に直結する。当院ドックでの経腟エコー検査実施率は他院と比較して高いと考えられる。

算出定義

分母
女性人間ドックのべ受診者数(区検診は除く)
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
2,913 1,956 2,510 2,695
分子
経腟エコーののべ実施者数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
- 1,900 2,088 1,718

医師コメント

婦人科任意型検診として、経腟エコー検査は有用であり診療の質に直結する。当院ドックでの経腟エコー検査実施率は比較的高い値と考えられるが、近年減少傾向にあるため、今後さらに割合を増加させるよう検討を続けたい。

婦人科良性疾患入院患者の(K)CP逸脱率

臨床的意義

当院婦人科の医療水準の確認。

算出定義

分母
婦人科良性疾患入院患者数
分母数値 2020年度 2021年度 2022年度
106 107 103
分子
2SD超え件数
※包括算定基準における標準入院期間
分子数値 2020年度 2021年度 2022年度
0 0 0

医師コメント

当院婦人科の医療水準の確認のため行ったが、過去3年間は逸脱率0%で推移していた。これは当院婦人科の医療水準が高度であることの証明となりうると考えるが、現在の逸脱率は2SDを越えた症例を抽出しているため、今後もう少し厳しい水準での検討もしてみたい。

特定術式における手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率

算出定義

分母
対象術式患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
22 19 24 15
分子
手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された手術件数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
22 19 24 15

特定術式における術後24時間以内の予防的抗菌薬投与停止率

算出定義

分母
対象術式患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
22 19 24 15
分子
術後24時間以内に予防的抗菌薬投与が停止された手術件数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
22 19 19 13

医師コメント

「当院の子宮全摘除術後おける術後24時間の予防的抗菌薬投与停止率は高い割合を維持しており、薬剤耐性菌の発症を高率で防いでいると考えます。」

特定術式における適切な予防的抗菌薬選択率

算出定義

分母
対象術式患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
21 19 24 15
分子
術式ごとに適切な予防的抗菌薬が選択された手術件数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
21 19 24 15

医師コメント

「当院の子宮全摘徐術では、ガイドラインに沿った抗菌薬を選択している割合が高いといえます。」

泌尿器科

結石分析がなされた尿路結石患者の、予防策がなされているか(栄養指導など)

臨床的意義

結石患者の再発予防で食事指導が望まれるが、実際の生活に基づいた綿密な栄養指導は外来では不可のため、栄養士による介入を依頼し栄養指導を試みる。

算出定義

分母
尿路結石発症の患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
654 559 747 858
分子
予防栄養指導オーダー有の患者
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
0 0 7 9

医師コメント

尿路結石は再発が多く、治療のみではなく、再発予防が大切になります。結石再発予防に対する生活指導は飲水指導や栄養指導が大切ですが、残念ながら、医師のみで栄養や食事の管理を行うことは難しく、管理栄養士などによる栄養食事指導が必要となります。
現状では尿路結石患者さんの栄養食事指導は4割に満たない状況ですが、今後さらに尿路結石再発予防の必要性を説明し、栄養食事指導の導入を行っていきたいと考えております。

皮膚科

アトピー性皮膚炎患者に対する保湿剤の処方率

臨床的意義

アトピーの外用加療には保湿剤が基本でそれに加えて症状に合わせて抗炎症外用薬を使う形が一般的であるため、処方率を確認する事により、どの程度標準療法に則っているかを判断できる。

算出定義

分母
アトピー性皮膚炎で通院中の患者かつ膚科特定疾患指導料を算定されている患者
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
360 393 424 394
分子
保湿剤を処方されている患者。
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
294 346 339 280

医師コメント

アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能が低下し、乾燥肌の傾向があります。炎症を抑える外用薬が治療の中心となりますが、バリア機能を向上させ、皮膚炎がない状態を維持するためには保湿剤の外用が重要であり、皮膚科学会のガイドラインでも継続使用を推奨しています。当院においても数年にわたり約7~9割の方に保湿剤を処方をしており、ガイドラインに則った標準的治療を行っています。

眼科

術後感染(眼内炎)の発症頻度

臨床的意義

白内障手術後の眼内炎の発症率は約0.05%程度(日本白内障屈折矯正手術学会より)とされていますが、眼内炎は失明にもつながり、白内障手術の合併症のなかでも重篤なものです。術後感染を完全に予防することは困難ですが、その発生を可能な限り防ぐために感染対策に取り組んでいます。

算出定義

分母
対象期間内の白内障の手術患者数
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
518 395 470 550
分子
術後眼内炎を発症した患者数
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
0 0 0 0

医師コメント

2019 年度から 2021 年度にかけて術後眼内炎は当院で発生しませんでした。日本白内障学会のデータでは発症率は約0.05%と言われていますが、発症すれば失明する可能性がかなり高くなるため、合併症の発症を0にすることが 臨床上重要で、このまま0を維持できるよう努力します。

角膜移植における平均待機日数(ドナー登録を行なってから移植を受けるまでの期間)

臨床的意義

当院における角膜を日本国内のドナー(提供者)から希望される場合の平均待機日数です。角膜移植を希望される方にとって、手術を受けられるまで待機する日数期間は大きな関心事項であり明示しています。

算出定義

分母
対象期間内の角膜移植の手術患者数
分母数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
18 9 10 12
分子
対象期間内の角膜移植患者の待機日数(移植希望登録日から手術日まで)の合計
分子数値 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
11,726 6,148 7,049 4,876

医師コメント

2019 年度から 2021 年度にかけての、角膜移植患者の国内ドナー待機日数の平均は650-700日であり、2年弱の待機期間となっています。この待機日数は我々の努力で短くすることはできませんが、移植を待つ患者さんへの情報として掲示しています。

病理診断科

組織診ターンアラウンドタイム

臨床的意義

病理検体を採取してからの、適切な病理結果説明の外来日を知る。

医師コメント

病理診断科では患者様から採取した検体が提出されてから、病理診断を報告するまでの時間(tune around time: TAT)を確認しています。2022年度のTATは、細胞診診断は平均3.51日、組織診断は4.32日です。全例を病理専門医がダブルチェックし、大学病院の中で、TATの短さはトップクラスです。ただし、手術検体、非診療日?連休を含む場合には平均を超え、難解症例の場合は2週間以上かかる場合があります。

細胞診ターンアラウンドタイム

臨床的意義

病理検体を採取してからの,適切な病理結果説明の外来日を知る。

医師コメント

病理診断科では患者様から採取した検体が提出されてから、病理診断を報告するまでの時間(tune around time: TAT)を確認しています。2022年度のTATは、細胞診診断は平均3.51日、組織診断は4.32日です。全例を病理専門医がダブルチェックし、大学病院の中で、TATの短さはトップクラスです。ただし、手術検体、非診療日?連休を含む場合には平均を超え、難解症例の場合は2週間以上かかる場合があります。