相模原市認知症疾患医療センター

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センター長コラム

第11回 認知症サポーターが増えることの意味

 認知症サポーターについてご存知でしょうか。認知症サポーターとは、認知症に関する正しい知識を持ち、理解を深め、手助けすることができる人を指します。試験を受ける必要はなく、90分程度の講義を受講すれば誰もが認知症サポーターになることができます。認知症サポーターの制度は、厚生労働省を中心に2005年から導入されました。
 認知症サポーターが増えることの意味は何でしょうか。認知症のある人の心情を想像することのできる人が増えるということを意味します。それはまさに認知症のある人が暮らしやすくなる街を作ることを意味します。もちろん、認知症サポーターが増えるだけではなく、いくつかの工夫も求められます。しかし、まずは認知症について理解を深めている人を増やすことは、認知症のある人が暮らしやすい街を作るための出発点と言えます。
 相模原市は2022年度までに教職員を除く全ての市職員を認知症サポーターに養成することを決めました。2020年1月27日には本村市長が自ら、認知症サポーター養成講座を受講しました。このことは認知症のある人を含む多くの人たちの安心に寄与し、将来相模原市が、認知症があっても安心して暮らすことのできる街づくりの礎になるような気がしています。教職員が受講対象に含まれないことに疑問を抱く人がいるかもしれません。学校教職員も定年後の再雇用が増えています。同僚や上司に認知症が生じることもあります。児童、生徒の家族に認知症が生じることもあります。教職員も講座を受講し、認知症について正しく理解した教職員が増えることは、学校という職場だけでなく、その地域にも様々な良い影響が生まれそうです。ですから教職員こそ受講する必要があるはずなのにと疑問を抱かれるのも当然と言えるでしょう。しかし教職員は学校で行われる児童?生徒を対象とした認知症サポーター養成講座を一緒に受講することができるので、心配は無用のようです。子どもたちへ認知症について理解を深めることのできる機会が提供されていくことは、認知症へのスティグマの低減された街づくりという視点で考えると、未来に向けて期待を持つことができそうです。
 認知症サポーター養成講座を受講する方法は、各自治体のウェブサイトをご覧ください。相模原市では以下のURLからアクセスできます。個人で受講することもできますし、自治会、企業、学校等の団体も概ね10人以上から、受講申し込みをすることができます。
 認知症サポーターが増えることは、街づくりという視点で重要ですが、一方でいざ認知症サポーターになっても、認知症のある人をサポートする機会につながりにくいという声を聞くことがあります。認知症のある人もしたいことや助けてほしいことがあるのに、誰にお願いしたらいいのかわからないという声を聞くこともあります。認知症サポーターの人が大多数を占め、認知症サポーターがマジョリティになるまでは、認知症サポーターの制度をより実効性のあるものにするために、助けてもらいたい人と助けたい人の思いをつなぐ仕組みが必要です。相模原市では認定NPO法人Link?マネジメントが運営し、市民サポーターが行っている「さがみはら認知症サポーターネットワーク(さがサポ)」が、この思いをつなぐ仕組みを作り、画期的な活動を展開しています。さがサポの実践は認知症があってもしたいことをできるようにする街づくりに大きく貢献するでしょう。多くの方達が認知症サポーター養成講座を受講され、さがサポが表現する「パートナー」であふれる街になることを願っています。

相模原市における認知症サポーター養成講座について:
http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/kaigo/1007008/1007016.html(2020年2月時点)
さがみはら認知症サポーターネットワーク:
https://sagasapo.com(2020年2月時点)

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