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探究する精神 職業としての基礎科学(2/21 掲載)

  • タイトル 著者(翻訳者) ISBN
    探究する精神 職業としての基礎科学 大栗 博司 978-4-344-98614-5

    【概要】 著者は素粒子理論を専門とする著名な物理学者。本書は著者の研究人生を振り返り、職業としての基礎科学を伝える回顧録です。宇宙の真理を追求するような「基礎科学」はすぐには社会の役に立たない。科学の発展にとって何が重要なのか、現代の社会における科学の意義とは何か。著者の研究者人生を振り返る事で語られていきます。

    理学部物理学科へ進学し、苦労して勉強した事。大学院での研究テーマとの出会い、そして武者修行時代。一般的にはあまり知られていない研究者のキャリアが具体的なエピソードとともに語られています。著者は米国では大学の運営にも参加し、その経験を持って日本のカブリ数物連携宇宙機構の立ち上げにも尽力されています。当事者しか知らない大学運営内部の話も書かれていて面白いです。著者の「基礎科学を育てる」意気込みが感じられます。

    さまざまなエピソードが語られていますが、華々しい成果を挙げている業界の重鎮?大栗先生にも若い頃に失敗経験があることが印象に残りました。また、著者が米国プリンストン高等研究所を訪れ、そこの研究者を見たときの話が特に記憶に残ります。世界的に有名な同研究所にはどんな天才、秀才がいるのだろうと思っていた著者ですが、以下のようなことを書いています。

    ----
    彼らの日常的な議論がそれほど鋭いわけではありません。
    [中略]
    しかしそれを考え続ける体力は全く違いました。次の日も、その次の日も、同じ黒板の前で「わからない、わからない」と頭をひねり、誰か通ると捕まえて「どう思う」などと聞いています。
    [中略]
    そうやって物事を底の底まで深く理解するまでしぶとく考える持久力の強さには感服しました。
    ----

    深い深い思考の果て、疑問に思うことを真剣に考え抜く探究の果てに真実があるのです。同じ分野を研究する一人としてこの事を心に刻もうと思いました。研究者の生き方を知りたい人に進める一冊です。

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探究する精神 職業としての基礎科学(2/21 掲載)

  • タイトル 著者(翻訳者) ISBN
    探究する精神 職業としての基礎科学 大栗 博司 978-4-344-98614-5

    【概要】 著者は素粒子理論を専門とする著名な物理学者。本書は著者の研究人生を振り返り、職業としての基礎科学を伝える回顧録です。宇宙の真理を追求するような「基礎科学」はすぐには社会の役に立たない。科学の発展にとって何が重要なのか、現代の社会における科学の意義とは何か。著者の研究者人生を振り返る事で語られていきます。

    理学部物理学科へ進学し、苦労して勉強した事。大学院での研究テーマとの出会い、そして武者修行時代。一般的にはあまり知られていない研究者のキャリアが具体的なエピソードとともに語られています。著者は米国では大学の運営にも参加し、その経験を持って日本のカブリ数物連携宇宙機構の立ち上げにも尽力されています。当事者しか知らない大学運営内部の話も書かれていて面白いです。著者の「基礎科学を育てる」意気込みが感じられます。

    さまざまなエピソードが語られていますが、華々しい成果を挙げている業界の重鎮?大栗先生にも若い頃に失敗経験があることが印象に残りました。また、著者が米国プリンストン高等研究所を訪れ、そこの研究者を見たときの話が特に記憶に残ります。世界的に有名な同研究所にはどんな天才、秀才がいるのだろうと思っていた著者ですが、以下のようなことを書いています。

    ----
    彼らの日常的な議論がそれほど鋭いわけではありません。
    [中略]
    しかしそれを考え続ける体力は全く違いました。次の日も、その次の日も、同じ黒板の前で「わからない、わからない」と頭をひねり、誰か通ると捕まえて「どう思う」などと聞いています。
    [中略]
    そうやって物事を底の底まで深く理解するまでしぶとく考える持久力の強さには感服しました。
    ----

    深い深い思考の果て、疑問に思うことを真剣に考え抜く探究の果てに真実があるのです。同じ分野を研究する一人としてこの事を心に刻もうと思いました。研究者の生き方を知りたい人に進める一冊です。

生物をシステムとして理解する -細胞とラジオは同じ!?-(1/17 掲載)

  • タイトル 著者(翻訳者) ISBN
    生物をシステムとして理解する
    -細胞とラジオは同じ!?-
    久保田浩行(著)
    巌佐庸(コーディネーター)
    978-4-320-00927-1

    【概要】 物理学の面白さの一つは、様々な現象を物理の基本法則をもとに理解していくところです。このためには、基本法則をより深く理解し、応用するための訓練が必要です。物理学科ではこのような訓練を行っています。これによって、物理屋(物理の研究者)や物理学科の卒業生の特徴であり強みである「現象を様々な観点、すなわち様々な考え方でとらえること」ができるようになります。本書は生物?生命をよくできた複雑で多様なシステムの集合体として捉えて、生物?生命を理解する学問「生物システム学」について、わかりやすく解説したものです。
    博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@の物理学科でも質量分析計、X線回折装置を使った実験的なアプローチと、コンピューターを使ったバイオインフォマティクス的なアプローチで生物?生命を理解することを目的とした研究がすすめられています。また、3年生になると「生物物理学」「生物システム学」という科目があり、生物?生命をシステムとして理解するための基本的な観点(考え方)を学びます。興味のある方は、是非この本を読んでみてください。

「第二の不可能」を追え! -理論物理学者、ありえない物質を求めてカムチャッカへ-(2/5 掲載)

  • タイトル 著者(翻訳者) ISBN
    「第二の不可能」を追え!
    -理論物理学者、ありえない物質を求めてカムチャッカへ-
    ポール?J?スタインハート
    (斉藤 隆央)
    978-4-622-08934-6

    【概要】 シベリアの東端、カムチャッカの無人ツンドラ地帯へ探索に出た多国籍チーム、というとなんとなく大掛かりな鉱山資源の開発か何かを想像するかもしれませんが、メンバーは10人程度でしかもリーダーは理論物理学者、それもキャンプもしたことがないという筋金入りのインドア派。彼らは天然の準結晶を探しにやってきたのです。物質はたいていの場合、原子が規則的に配置された結晶か、あるいは逆に無秩序な状態しか許されないと長い間考えられてきました。でも、このどちらでもない原子配置をもつ「準結晶」という状態の存在が40年以上前に指摘され、実際に人工的に作られていて現在では色々な素材として利用されています。だけど人工的に作れるのなら天然物があってもいいよね、ということで、ある博物館に眠っていた隕石のかけらからチームメンバーの1人がそれを発見しました。しかし研究の信頼性を高め、さらに発展させるにはあまりにも資料が少ない。なにしろ天然準結晶を調べれば、太陽系の成り立ちにまで迫ることができるのです。この探索はそのための「かけら探し」なのですが、ここに至るまでの数十年にわたる顛末はとてもノンフィクションとは思えない展開、現在でもまだ収束していない壮大な物語です。

理系のための知的好奇心(12/25 掲載)

  • タイトル 著者(翻訳者) ISBN
    理系のための知的好奇心 ミグダル(田井 正博) 978-4-489-00465-0

    【概要】 旧ソ連が生んだ偉大な理論物理学者ア?ベ?ミグダル(1911-1991)の著書。観測-理論-実験からなる科学的アプローチについて、具体的な例をもとに研究者であればこそ可能な指摘や的確な着眼の仕方を示し、読者に目から鱗の落ちる思いを味わせてくれます。是非、読んでみてください。

竜の卵(9/4 掲載)

  • タイトル 著者(翻訳者) ISBN
    竜の卵 ロバート L.フォワード(著)
    山高 昭 (翻訳)
    978-4-15-010468-9

    【概要】 直径20km、地球の670億倍という重力を持つ中性子星「竜の卵」に発生した知的生命体と人類のコンタクトをめぐるSF小説。著者は重力理論の専門家ロバート L.フォワード。強重力下のため、中性子星表面ではたった数ミリの段差も乗り越えられない生命体。特殊な状況下ゆえ、生命体は分子結合の代わりに核結合で生命活動を維持するため、生活速度は人間の100万倍になっています。巻末に専門的補遺があり、中性子星の物理的特性についても詳しく解説されています。SF小説としても、物理書として読んでも面白いです。

生命はデジタルでできている(8/12 掲載)

  • タイトル 著者(翻訳者) ISBN
    生命はデジタルでできている 田口 喜弘 978-4-06-519597-0

    【概要】 生物の設計図である遺伝子はたった4つの核酸ATGCからなります。また、A-TおよびG-Cによる相補性が情報の正確性を担保し、相補性によって形成される二重らせんは同一の情報を完全に2組もつという完全な冗長性を持っています。このように、生物は太古の昔からデジタルシステムによって成り立つ存在と考えることができます。本書は、このような物理学?情報科学の観点から、生命システムとは何か?を紹介しています。

数学の大統一に挑む(8/12 掲載)

  • タイトル 著者(翻訳者) ISBN
    数学の大統一に挑む エドワード?フレンケル(著)
    青木 薫 (翻訳)   
    978-4-16-390280-7

    【概要】 原作はLove and Math(愛と数学)。人種差別によりモスクワ大学に不合格になった著者。渋々入学した大学の指導教員に「君は数学の問題を解いてみたくないかね?」と言われ、溢れる才能でカリフォルニア大学の数学教授になるまでの自伝が本書。群、幾何、代数、様々な数学分野を研究するうちに、著者は無関係であったこれらが「ラングランズ?プログラム」と呼ばれる1つの枠組みに集約されることに気付きます。後半「物理学者は数学者の地平を再発見する」では、全く別の研究をしていた物理学者達が、ラングランズ?プログラムの世界に到達することが明かされます。数学の統一理論は物理学を統一するのでしょうか? 少し難しいですが数学の世界にどっぷり浸りたい人にはオススメです。

三体(7/22 掲載)

  • タイトル 著者(翻訳者) ISBN
    三体          劉 慈欣(大森 望、他) 978-4-15-209870-8

    【概要】 現代中国を代表するSF作家の話題作。全3部作の第1部で、7月現在第2部まで邦訳が出ています。
    物語の背後に流れる問いかけは、ある文明の進歩を止めるために、最も有効な手段はなんだろうか?というもの。そしてそれは「基礎科学の発展を阻害すること」であるというのが大きなテーマ。SFなので荒唐無稽な内容ももちろん含んでいますが、現代物理学が物質や時空の構造にどのように迫っているか、物理学科で触れる内容が随所に現れて、ちょっとでも物理に興味があれば目を離せない展開です。で、「三体」という不思議なタイトルの意味は?これはネタバレになっちゃうので書きません(笑)。

ブラックホール戦争 スティーヴン?ホーキングとの20年越しの闘い(7/22 掲載)

  • タイトル 著者(翻訳者) ISBN
    ブラックホール戦争
    スティーヴン?ホーキングとの20年越しの闘い
    レオナルド?サスキンド(著)
    林田 陽子 (翻訳)   
    978-4-8222-8365-0

    【概要】 アインシュタインの再来と言われた車椅子の物理学者スティーヴン?ホーキング。生前、ホーキング氏はブラックホールに落ち込んだ物質の情報は永遠に失われると主張しました。一方、素粒子理論研究の大家、スタンフォード大学のレオナルド?サスキンド氏は情報は失われないと真っ向から反論します。本書はこの二人を中心とした物理学者達の「知的な戦争」を人間味豊かに紹介しています。文中で語られる「ブラックホールはこの世で最高の情報記憶ストレージ」とは言い得て妙。知的好奇心を十分満たしてくれる一冊です。