内視鏡センターの紹介

内視鏡センターでは、食道?胃?十二指腸を観察する上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)、大腸を観察する下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)、肝?胆?膵系の精査?治療を含む内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を行っております。
2014年4月からはERCPに加え、胆膵系の精査として超音波内視鏡(EUS)、およびEUSガイド下に針を穿刺して組織を採取する超音波内視鏡下吸引細胞診?生検、さらにこれを用いて、仮性嚢胞?膿瘍のドレナージ、胆管?膵管のドレナージ、膵がんなどの患者の疼痛を軽減させる腹腔神経叢ブロックなどの治療処置を行う、治療超音波内視鏡も導入しました。

1)上部消化管内視鏡

食道、胃、十二指腸を観察し、胃潰瘍、胃がん、逆流性食道炎、食道がん、食道静脈瘤、十二指腸潰瘍などの診断、治療を行う検査です。当院では、オリンパス社の最新の観察装置290シリーズを用いて、通常観察、赤と緑の光のみで観察するNBI観察、50-100倍に拡大して観察する拡大観察を用いて、病気の早期診断、範囲診断を正確に行い、適切な治療が行えるように心がけております。
これらの理由のため、近隣医療機関からのご紹介で患者が増加していると予想され、2019年度は全体で4,150件の検査を行いました。
また、胃十二指腸潰瘍、食道静脈瘤からの吐血、下血に対して緊急止血処置にも対応しております。早期胃がんに対して適応を満たしたものに対しては、内視鏡的粘膜剥離術(ESD)による治療を行い、昨年度は35例行いました。
その他、食道がんの内視鏡治療(EMR、ESD)、食道静脈瘤結紮術などにも対応しております。

2)下部消化管内視鏡

下剤の前処置後に大腸を観察して、大腸ポリープ、大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性大腸炎、感染性腸炎などの診断、治療を行う検査です。近年、日本においては、食の欧米化のためか大腸ポリープ、大腸がんが増加し、特に女性においては、ついに死因の第一位が大腸がんとなっており、40-50歳を越えたら、一度は検査を行うべきと勧められています。その際に多数のポリープを認められた方は、定期的な観察、ポリープ切除が勧められ、ポリープ等のリスクがない方は、検査の間隔を2-3年開けてよいとされています。
2019年度は、大腸鏡を2,232件行ったうち、ポリープ切除、粘膜切除術を1,189件行いました。また、大腸においても25件の内視鏡的粘膜剥離術(ESD)を行いました。

3)内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)

胆管、膵管を十二指腸乳頭から造影し、胆管結石、胆管がん、胆嚢がん、慢性膵炎、膵がん、膵管内乳頭粘液性腫瘍などの診断、治療を行う検査です。
近年の日本における高齢化に伴い、膵がん?胆管がん?胆嚢がんが漸増し、胆管結石も増加している現状のなか、ERCPを用いた内視鏡的胆道ドレナージ、内視鏡的胆管結石採石術の必要性が高まっています。最近は漸増し、2019年度はERCPを297件行い、多くは内視鏡的胆道ドレナージ(ERBD)と膵管ドレナージ(EPS)でした。内視鏡的乳頭切開術、乳頭バルーン拡張術は132件、採石は57件、砕石は23件行っています。また、胆道ドレナージは、プラスチックステント83件、メタリックスステント17件でした。

4)超音波内視鏡(EUS)、超音波内視鏡下吸引細胞診(EUS-FNA)

超音波内視鏡(EUS)は、内視鏡の先端に超音波振動子をつけて、消化管およびその周囲の膵臓、胆道、腹腔内の対象物をかなり拡大して観察する検査です。
超音波内視鏡下吸引細胞診(EUS-FNA)は、超音波内視鏡下に対象となる膵がん、粘膜下腫瘍、リンパ節などを描出して、これらに対して超音波内視鏡でガイドしながら穿刺し、標本組織を採取する方法です。
両者とも2014年から導入し、2019年度、EUSは570件、EUS-FNAも42件施行されており、今後も増加するものと考えられます。また、これらから派生した超音波内視鏡下仮性嚢胞ドレナージ、超音波内視鏡下胆管ドレナージ(EUS-BD)、超音波内視鏡下膵管ドレナージ(EUS-PD)、腹腔神経叢ブロックなども今後増加すると思われます。

5)その他

以前は観察が困難とされた小腸も、近年の進歩であるバルーン式小腸鏡によりで可能となってきました。また、以前は困難とされた胃切除後の患者の内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)も、小腸鏡を用いて行えるようになっており、開腹手術を行わずにこれらの患者の胆管結石採石術、胆道ドレナージが行えるようになりました。
当施設は、日本消化器内視鏡学会の指導施設として、若手内視鏡医の指導?育成を行っております。超音波内視鏡(EUS)、超音波内視鏡下吸引細胞診(EUS-FNA)、内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)、内視鏡的粘膜剥離術(ESD)などの研修希望者は、消化器内科部長の木田宛てににご連絡ください。1-2年間の国内留学(卒年に準じた給与+週1日の研究日)に対応しております。

KMC消化器内科の各種内視鏡検査数
上部内視鏡
下部内視鏡
ERCP
EUS
KMC消化器内科の各種内視鏡処置数
EST EPBD
FNA